2025年12月11日(木)
WICIシンポジウム2025

WICIシンポジウム2025

WICIシンポジウム2025のご案内(開催趣旨)

わが国では、企業を始めとした組織における様々なステークホルダーへの価値創造ストーリーを語る統合報告が始まって、既に1,000社以上が毎年統合報告書を公表するようになりました。統合報告は、有価証券報告書のような強制開示でなく、任意的開示でありながら、社会的にも有益な情報開示ツールとなっていると評価できます。一方、サステナビリティ情報の開示については、2023年6月にIFRSが策定した S1・S2の開示情報をベースに2025年3月にわが国のSSBJ(サステナビリティ基準委員会)は、サステナビリティ開示基準「日本版S1・S2」を公表しました。今後こうした国内外の標準化の動きに合わせて日本企業の非財務情報の開示はどのように進んでいくのかには大いに関心が集まっています。

しかしながら、こうした非財務情報の標準化の動きとは裏腹に、ESG課題への取組みが後退する事態が散見されるようになってきました。特に米国ではその流れは顕著で、2024年3月にSECは米国上場企業に気候関連リスクや温室効果ガス排出量などの情報開示を義務付ける最終規則を採択しましたが、その後、各地でGHG開示規則の効力を争う訴訟が提起され、2025年2月にSECは、GHG開示規則に関する訴訟の停止を申し立て、事実上、本規則の施行が停止されることになりました。また、これまで企業の社会的責任(CSR)の中核として尊重されてきたDE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)もヨーロッパを中心に世界的に広がってきましたが、トランプ大統領が就後はすると、アメリカでは「DE&Iを見直す」「廃止する」といった動きを見せる企業が生まれています。

こうした反ESG、反環境規制、反平等主義とも思える流れは、政治的・経済的な論争にも発展しそうですが、統合報告フレームワークにおいては「統合報告書の中で、報告境界を決定する際に考慮する相互関係、及び長期にわたる価値創造に影響を及ぼす次のような重要なトレードオフについて開示されることは重要である」とされ、具体例としては「資本間又は資本の構成要素間のトレードオフ(例えば、環境に悪影響を与える活動を通じた雇用の創出)」と解説されています。したがって、統合報告の目指す6つの諸資本に対する創出価値は、そもそも相互関係性がプラスだけではないことは、当初より想定されていたといえそうです。そして、それを解決するのが「統合思考」であり、統合思考とは「組織が、その事業単位及び機能単位と組織が利用し影響を与える資本との関係について、能動的に考えることである。統合思考は、短、中、長期の価値の創造、保全又は毀損を考慮した、統合的な意思決定及び行動につながる」とフレームワークには書かれています。

WICIシンポジウム2025では、『統合思考の未来~諸資本の「調和」と「対立」~資本市場の変容と今後の展望』と題して、企業サイド、投資家サイド、アカデミックの分野の方々、グローバルな標準セッターなど広く関係者の方々にお集まりいただき、こうした統合思考の在り方について一緒に考えていきたいと思います。是非12月11日には、中央大学駿河台キャンパスに集まりください。

なお、今年もWebでの配信を予定しておりますので、国内、世界のどこからでも各セッションのご視聴やご質問が可能です。多数の皆様さまのご参加を心よりお待ちしております。

一般社団法人 WICIジャパン
代表理事 北川 哲雄

開催概要

WICI Symposium 2025
統合思考の未来~諸資本の「調和」と「対立」~資本市場の変容と今後の展望
主催World Intellectual Capital Initiative(WICI)
後援
(予定)
経済産業省
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター知的資本研究会
日本ベンチャー学会
大阪大学社会ソリューションイニシアティブ
ESG情報開示研究会
IFRS財団
国際会計研究学会
中央大学ビジネススクール
開催日2025年12月11日(木)
会場中央大学駿河台キャンパス4階講堂 及びオンライン配信でのハイブリッド開催