開催概要

WICIシンポジウム2018のご案内

伝統的財務報告の限界を超えて価値創造活動を社会の人々に適確に伝達し、相互のコミュニケーションを高めようとする活動が、米・欧・日それぞれで1990年代から取り組まれてきました。「それぞれの地域特性を反映しつつも共通基盤に乗せて価値創造ストーリーをステークホルダーと共有できるような開示の仕組みを創ろう」というOECDの呼びかけに応じて、米国の「改善された事業報告協議会(Enhanced Business Reporting Council-EBRC)」、欧州の「財務アナリスト協会欧州連盟(European Federation of Financial Analyst Societies-EFFAS)」およびフェラーラ大学(University of Ferrara)」、日本側の経済産業省および早稲田大学知的資本研究会がパリのOECD本部に集まり、2007年11月にWICI(World Intellectual Capital/Assets Initiative-知的資本・資産世界構想)が設立されました。

WICIは、EBRCの「改善された事業報告フレームワーク(ver.2.0)」と経済産業省の「知的資産経営の開示ガイドライン」の統合作業に着手し、「WICI事業報告フレームワーク」をまとめました。それは、①企業における価値創造ストーリーの表明、②企業のビジネスサイクル期間にもとづくビジネスモデルの提示、③それぞれのKPIを含む財務・非財務データおよび将来を見通すことに繋がる情報の提供、これらを3本柱にして発行体に開示を求めています。以来、WICIは、これらの経営開示の啓蒙・普及を図るために、2008年からWICIシンポジュウムを毎年晩秋に東京で開催し、今回は11回目になります。

この間、産業社会の持続可能性を支える基本要因として認識されるようになったESG課題への対処策を企業の価値創造活動に取り込ませ、その過程をステークホルダーに報告させることを目指し、欧州委員会が主催した世界の関係者を集めてのラウンドテーブルに基調講演組織として招聘され、あるいは価値創造の源泉であるintangiblesを体系的に捉える枠組みを準備しそれを財務・非財務データに反映させて価値創造プロセスを報告する国際会議への参加等を通して、WICIはその取り組みを積極的に紹介してきました。これらの動きの一環として、英国のPaul Druckman 氏が2009年に準備し、チャールス皇太子の呼びかけに応じて「持続可能性会計事業(Accounting for Sustainability Project)」が設立され、この取り組みに共鳴する「国際会計士連盟(IFAC)」および「グローバル報告構想(GRI)」と共に、2011年に「国際統合報告委員会(International Integrated Reporting Committee)」が設立されました。IIRCが目指す「統合報告フレームワーク」の起草にはDruckman氏からの要請を受けてWICIから人材を派遣し全面協力するとともに、WICI自体がIIRCと相互協力協定を結び、今日の「統合報告協議会(International Integrated Reporting Council)」のメンバーになっております。また、設立メンバーであったEBRCがその役割を終え事実上解散したことに代わり、「持続可能な開発のための世界経済人会議(World Business Council for Sustainable Development-WBCSD)が今年から正式メンバーとなりしました。

WICIが統合報告優良企業表彰などを通じて普及・定着に取り組んできた統合報告書は、わが国では400社を超える企業が公表するようになりました。そればかりでなく営利企業以外の組織にも統合報告の作成に取り組む気運が高まっており、去る10月には東京大学が統合報告書を公表いたしました。このような非営利組織への拡がりは、奇しくも「だれ一人取り残さない("Leave No One Behind”)」を主題にするSDGsに日本が国をあげて取り組むことを宣言したことと軌を一にするものであり、社会を構成するひとり一人がそれぞれに取り組む目標を明確にし、その取り組みを他の社会構成員と共有することが求められるところから、統合報告も次の局面へ展開することが求められるとの認識に立ち、この機会に統合報告が築いてきたことを再確認し、その改善・強化にどのように取り組んだら良いのかを、来る11月30日(金)に早稲田大学大隈講堂および小講堂において開催する「WICIシンポジュウム2018」において、登壇者はもとより会場にお越しいただく方々と共に考える機会にできればと企画しております。

お誘いあわせのうえ、ふるってご参加いただければ幸いです。

2018年11月吉日

昆 政彦
Chairperson
World Intellectual Capital/Assets Initiative

WICI Symposium 2018
“SDGsの実践に向け統合報告の知見を活かす”
主催World Intellectual Capital/Assets Initiative(WICI)
後援経済産業省(後援依頼中)
国際統合報告評議会 (International Integrated Reporting Council‐IIRC)
協賛(予定)有限責任あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、太陽有限責任監査法人、(株)エッジ・インターナショナル、(株)電通、トッパン・エディトリアル コミュニケーションズ(株)、(株)バリュークリエイト、㈱ICMG、他(交渉中)
開催日2018年11月30日(金)
会場早稲田大学大隈講堂(大講堂・小講堂)
〒109‐0071 東京都新宿区戸塚町1-104
電話: 03-3203-9746
https://www.waseda.jp/culture/en/facility/